特定技能「介護」で調理・配膳はできる?食事介助との違いと2027年の制度変更
公開日:2026年10月23日
最終更新日:2026年10月23日
特定技能「介護」の外国人は、入浴・食事・排せつの介助などの身体介護等を主な業務とし、食事介助も任せられます。配膳や下膳は運用要領の例示にはないものの、介護職員が通常行う関連業務と考えられ、付随的に担う範囲なら任せられます。
一方、厨房で給食を調理する仕事は介護分野の対象外で、現行は主に特定技能「外食業」の業務です。2026年10月19日の有識者会議では、この給食調理を令和9年度の新規申請分から飲食料品製造業分野で受け入れる案が示されています。

監修者
武藤 拓矢合同会社エドミール 代表社員
資格:申請等取次者 / 外国人雇用管理主任者
合同会社エドミールの代表社員として、介護分野を中心に外国人材の導入・定着を支援。商工会議所主催の外国人活用セミナーにも登壇。
目次
特定技能「介護」の外国人に調理や配膳は任せられるか
食事介助は特定技能「介護」の中心業務で、配膳・下膳も関連業務と考えられる範囲なら付随的に任せられます。一方、厨房で給食を調理する仕事を主な業務として任せることはできません。
- 任せられる業務:食事の見守り、声かけ、口元への介助などの食事介助
- 付随的なら任せられる業務:物品の補充(運用要領の例示)、配膳・下膳や食後の片付け(関連業務と考えられる作業)
- 任せられない業務:厨房での給食の調理や仕込み
判断の軸は、その作業が目の前の利用者への介護の一部かどうかです。施設全体の食事を作る作業は食事の製造(給食調理)にあたり、介護分野の業務ではありません。
従事できるのは身体介護等と付随的な関連業務
従事できる業務は、入浴・食事・排せつの介助などの身体介護等と、日本人職員が通常行う関連業務への付随的な従事です。出入国在留管理庁の介護分野のページでは、レクリエーションの実施や機能訓練の補助も付随する支援業務として示されています。
- 身体介護等:入浴、食事、排せつ、整容・衣服着脱、移動の介助など
- 付随する支援業務:レクリエーションの実施、機能訓練の補助など
- 関連業務:お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充や管理など
関連業務の例は運用要領が挙げるもので、配膳・下膳は例に明記されていません。ただ、食事介助の前後に介護職員が通常行う作業であれば、関連業務の考え方に沿って付随的に担う位置づけと考えられます。
制度の全体像は、特定技能制度の基本と1号・2号の違いで確認できます。
関連業務を専ら担当させることはできない
関連業務はあくまで身体介護等に付随するもので、配膳や片付けだけを担当させる配置は認められません。運用要領は、身体介護等の業務に主として従事することを求め、専ら関連業務に従事することは認められないと注記しています。
- 身体介護等には入らず、配膳・下膳だけを担当させる
- 介助には入らず、洗濯や物品管理を中心に担当させる
- 介護職として採用し、実際は厨房や清掃を主に担当させる
上のような配置は避けましょう。食事の時間帯に配膳を担当すること自体は問題ではなく、勤務全体で身体介護等が中心になっているかが確認のポイントです。
食事介助・配膳と給食調理の制度上の違い
違いは利用者への介護か、食事の製造かです。食事介助は介護分野の中心業務、配膳・下膳は介護に付随する作業、厨房での給食調理は主に外食業分野の業務と整理できます。
給食調理は、令和9年度の新規申請分から飲食料品製造業分野へ移す案も出ています。どちらの場合も、介護分野の在留資格で担える業務ではない点は変わりません。
業務ごとの制度上の位置づけ
食事介助は任せられる中心業務、配膳・下膳は付随的なら可、給食調理は介護分野の対象外と整理できます。
| 業務 | 内容の例 | 制度上の位置づけ | 特定技能「介護」での担当 |
|---|---|---|---|
| 食事介助 | 食事の見守り、声かけ、口元への介助、むせ込みの確認 | 身体介護等(中心業務) | できる |
| 配膳・下膳 | 食事の配膳、下膳、食後の片付け | 関連業務と考えられる(運用要領に例示なし) | 付随的ならできる |
| 盛り付け・温め直し | ユニットでの盛り付け、とろみ付け、温め直し | 運用要領に個別の記載なし | 身体介護等との関係で個別に判断 |
| 給食の調理 | 献立の調理、仕込み、下処理、大量調理 | 主に外食業分野(令和9年度から飲食料品製造業分野とする案) | できない |
表の位置づけは、運用要領の業務の定義と有識者会議資料の分野の整理をもとにしています。個別の業務で迷う場合は、管轄の地方出入国在留管理局に確認してください。
特定技能「介護」と「飲食料品製造業」は別の分野
特定技能は分野ごとに試験と従事できる業務が決まっており、介護分野の在留資格で飲食料品製造業の業務に就くことはできません。名前に「食」が付く業務でも、介護分野の食事介助と、主に外食業分野で受け入れてきた給食製造は別物です。
- 介護分野:身体介護等に従事する
- 外食業分野:飲食物調理・接客・店舗管理に従事する
- 飲食料品製造業分野:食品の製造・加工や衛生管理に従事する
別の分野の業務に就くには、原則として変更先の分野の試験に合格するか、関連する技能実習2号の良好な修了などの免除要件を満たす必要があります。そのうえで、在留資格変更許可を受けなければなりません。
現場で迷いやすい業務の線引き
盛り付けや温め直しは運用要領に個別の可否が書かれておらず、身体介護等との関係で個別に判断する作業です。一方、厨房に入って献立の調理や仕込みを担う応援は給食調理そのものなので、短時間でも避けるのが安全です。
- 誰のための作業か目の前の利用者の食事を支える作業か、施設全体の食事を作る作業かで分けます。
- 介助と一体の作業か食事介助の流れの中で行う作業か、介助とは切り離された調理作業かを確認します。
- 勤務の中心は何か1日の勤務の中心が身体介護等になっているかを見ます。
この3つは施設内で判断をそろえるための目安で、公式の判定基準ではありません。迷う作業は、管轄の地方出入国在留管理局に確認しましょう。
ユニットでの盛り付けや温め直し
盛り付けや温め直し、とろみ付けは運用要領に個別の記載がなく、食事介助の流れの中で行う作業かどうかで判断することになります。利用者の嚥下(えんげ)の状態を見ながら行う作業は、介護の専門性とも結びつきます。
ただし、ユニットで米を炊く、汁物を一から作るなど、調理そのものが中心になると線引きが曖昧になります。施設の運用で迷う作業は、配置前に確認しておきましょう。
調理レクリエーションやおやつ作り
利用者と一緒に行う調理レクリエーションは、付随する支援業務のレクリエーションとして扱える範囲と考えられます。目的は食事の提供ではなく、利用者の楽しみや生活機能の維持にあります。
外国人職員が一人で施設全体のおやつを作り続ける形になると、レクリエーションではなく調理業務に近づきます。利用者が参加する活動として計画しているかが分かれ目です。
人手不足時の厨房応援
調理員の欠員を埋める目的で厨房に入り、給食の調理や仕込みを担当させるのは避けるべきです。有識者会議資料では、医療・福祉施設の給食製造は主に外食業分野で受け入れてきた業務とされ、令和9年度からは飲食料品製造業分野へ移す案になっています。
厨房の人手が足りないときは、介護職員で穴埋めするのではなく、次の見出しで紹介する調理人材の確保策を検討しましょう。
訪問介護での調理
訪問系サービスには、要件を満たせば1号特定技能外国人も従事できます。ただし、生活援助の調理だけを中心にする配置は避け、身体介護等を主な業務にします。
- 介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験が原則1年以上ある人に限る
- 訪問系サービスの基本事項や緊急時の対応などを含む研修を行う
- 一人で適切に提供できるまで、サービス提供責任者等が同行するなどしてOJTを行う
- 本人の意向を確認しながらキャリアアップ計画を作成する
- ハラスメント対策のマニュアル作成や相談窓口の設置を行う
- 緊急時の連絡体制など、ICTの活用も含めた環境を整える
- 利用者や家族に、外国人職員が訪問する場合があることなどを書面で説明し、書面への署名を求める
これらの遵守事項は、訪問系サービスに従事させる前に巡回訪問等実施機関が確認します。
厨房の調理スタッフを外国人で確保する方法
厨房の調理を外国人に任せるには、調理を対象とする特定技能「外食業」などの制度が必要です。ただし外食業は2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止され、海外からの新規受入れは原則として止まっています。
- 外食業分野内で転職する1号特定技能外国人を採用する(変更申請は全件審査)
- 給食を委託し、委託先の人員計画で調理人材を確保する
- 令和9年度に見込まれる飲食料品製造業分野での受入れに向けて計画を立てる
なお、介護職員側の採用ルートは、介護施設が外国人を採用する4つのルートで比較しています。
現行は特定技能「外食業」が対象
現行制度で医療・福祉施設の給食調理を担うのは、主に特定技能「外食業」です。ただし、セントラルキッチンのように接客がない事業所では、現行でも飲食料品製造業分野で受け入れる運用があります。
| 申請の種類 | 審査の状況(2026年10月19日掲載) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ) | 受付日順に順次交付(現在は令和8年2月6日受付分まで)。4月13日以降の受理分は原則不交付 |
| 外食業分野内での転職に伴う変更申請 | 全ての申請を通常どおり審査 |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)からの変更申請 | 受付日が令和8年9月30日までの申請を審査 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)からの変更申請 | 受付日が令和8年9月30日までの申請を審査 |
| 上記以外の在留資格からの変更申請 | 受付日が令和8年4月12日までの申請を審査。4月13日以降の受理分は原則不許可 |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり審査 |
出典は出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」です。状況は随時更新されるため、申請前に最新の掲載を確認してください。
直営厨房か給食委託かで確認先が変わる
確認先は、給食を委託していれば委託先、直営の厨房なら施設自身です。委託先が外国人を雇う場合は委託先の受入れ計画を確認し、直営なら施設が受入れ機関として分野ごとの要件を満たす必要があります。
- 委託給食の施設:委託先の人員計画、外国人職員の在留資格と分野、令和9年度以降の受入れ方針を確認する
- 直営厨房の施設:雇用する分野の要件と、事業所が受入れ対象の産業分類に当たるかを確認する
- 介護職員:厨房の人員とは分けて、介護分野の受入れ計画として管理する
移管後に対象となる事業所の範囲は告示の改正で確定します。直営厨房の施設は、改正内容の公表を待って判断してください。
2027年度の給食製造の分野移管で何が変わるか
政府案では、医療・福祉施設の給食製造を外食業分野から飲食料品製造業分野へ移し、令和9年度(2027年度)の新規申請分から受入れを再開します。介護分野の職員が担える業務の範囲は、この案では変わりません。
案は出入国在留管理庁が2026年10月19日の第15回有識者会議で示したもので、今後の閣議決定と告示の改正を経て確定します。
給食製造は飲食料品製造業分野で受け入れる案
対象は、食材の下処理から加熱・非加熱の調理までを行い、医療・福祉施設の給食を作る業務です。飲食料品製造業分野の業務区分に「医療・福祉施設給食製造」を加え、新たに受け入れる外国人はこの分野で従事させます。
- 外食業分野の主たる技能から「医療・福祉施設給食製造」を削除し、飲食料品製造業分野へ付け替える
- 受入れ対象の事業所に、医療業や社会保険・社会福祉・介護事業などを営む事業所で施設給食業を営む場合を加える
- 理由として、給食等調理員(学校給食を除く)の有効求人倍率7.37倍(令和8年5月)などの人手不足が挙げられている
この案は医療・福祉施設などの給食製造に限った付け替えで、一般の飲食店などの受入れ再開を示したものではありません。
介護分野でも特定技能1号の枠を2万人増やす案
同じ会議では、介護分野の特定技能1号の受入れ見込数を12万6,900人から14万6,900人へ増やす案も示されました。育成就労は3万3,800人から1万3,800人へ減らし、分野全体の16万700人は維持します。
| 区分 | 現行の配分 | 変更案 | 差 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 126,900人 | 146,900人 | +20,000人 |
| 育成就労 | 33,800人 | 13,800人 | -20,000人 |
| 分野全体 | 160,700人 | 160,700人 | ±0人 |
理由は、令和8年6月末の介護分野の1号特定技能外国人が7万9,884人に達し、現行の配分では令和9年度後半に見込数を超える可能性があるためです。介護職員として特定技能を活用する施設にとっては、受入れを続けやすくする方向の案といえます。
まだ決まっていないこと
閣議決定と告示・運用要領の改正はこれからで、すでに外食業で給食調理に就いている人の扱いは資料に書かれていません。案の内容が変わる可能性もあるため、決定と公表を確認してから判断しましょう。
- 閣議決定の時期
- 告示の改正内容と、対象となる事業所の具体的な範囲
- 外食業分野で在留中の給食調理人材の、移管後の扱い
- 試験や申請手続きの切り替え方法
特定技能外国人を適切に配置するために施設が確認すること
確認するのは業務内容・受入れ人数・迷う業務の事前確認の3点です。業務分担で身体介護等が中心か、受入れ人数が上限内か、判断に迷う業務を配置前に確認したかを見直します。
- 雇用契約書の業務内容が、身体介護等を中心に書かれている
- 配膳・下膳などの関連業務が、付随的な位置づけになっている
- 厨房の欠員を、介護職員で埋める運用になっていない
- 受入れ人数が、日本人等の常勤介護職員の総数を超えていない
- 迷う業務の扱いを確認し、記録を残している
雇用契約書と業務分担表に業務内容を書く
雇用契約書や業務分担表には身体介護等を主な業務として記載し、配膳・下膳などの関連業務は付随的な位置づけで書きます。実際のシフトと書類の内容がずれていないかも、あわせて確認しましょう。
| 区分 | 記載の例 |
|---|---|
| 主な業務 | 利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつ、移動等の介助 |
| 付随する支援業務 | レクリエーションの実施、機能訓練の補助 |
| 関連業務 | 物品の補充や管理、掲示物の管理、配膳・下膳など(付随的に従事) |
業務内容に「調理補助」や「厨房業務」を入れると、介護分野の業務範囲を外れると受け取られるおそれがあります。
受入れ人数の上限は常勤介護職員の数で決まる
事業所で受け入れられる1号特定技能外国人は、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。厨房の調理員は介護職員ではないため、上限の基準となる人数には含まれません。
カウントの考え方は、特定技能「介護」の受け入れ人数の上限で詳しく解説しています。
判断に迷う業務は事前に相談する
迷う業務は配置前に、管轄の地方出入国在留管理局や、支援を委託する登録支援機関へ確認します。介護分野では巡回訪問等実施機関による巡回訪問もあり、受入れ施設での雇用や介護サービスの提供状況が確認されます。
支援を外部に任せるか迷う場合は、特定技能「介護」の支援委託の判断基準も参考にしてください。介護ジンザイテラスの特定技能支援サービスでは、人材選定からビザ申請、受け入れ支援までをまとめてご相談いただけます。
よくある質問
- すでに外食業で給食調理をしている外国人はどうなりますか
- 2026年10月時点の有識者会議資料には、移管後の扱いは書かれていません。外食業分野の在留期間更新は通常どおり審査されているため、今後の公表を確認しながら判断してください。
- 特定技能「介護」の職員を厨房へ配置転換できますか
- 介護分野の在留資格のままではできません。別分野へ移るには、試験合格や免除要件を満たしたうえで在留資格変更許可が必要です。ただし外食業分野への変更申請は2026年4月13日以降の受理分が原則不許可のため、現時点では事実上難しい状況です。
- 育成就労の介護でも業務の範囲は同じですか
- 育成就労の介護分野でも、主たる技能は身体介護等とされています(2026年10月の分野別運用方針案)。厨房での給食調理が対象外である点は同じです。
- 業務の範囲を外れて働かせるとどうなりますか
- 在留資格で認められた活動から外れた就労は、本人の在留資格の更新や、受入れ機関の受入れ継続に影響するおそれがあります。不安な業務がある場合は、早めに管轄の地方出入国在留管理局へ確認してください。

